ラフランス — 吉田農園

ラフランス

syo3

ラフランス  (syo3)

定価(税込)
¥5,800
販売価格(税込)
¥2,800
在庫状態 : 在庫有り

商品説明

西洋なし|ラ・フランスが火を付けた、「西洋なし」ブーム。

 

西洋なし|「みだぐなす」から女王様になったラ・フランス
ラ・フランス
★主な産地★
天童市ほか
★主な品種と収穫時期★
日本なしの収穫時期

「みだぐなす」から
女王様になったラ・フランス

「みだぐなす」とは「見たくなし」、つまり「みばえが悪くかっこ悪いもの」という意味の方言だ。こんなあだ名をつけられていたラ・フランスなの に、その驚くほど上品でとろけるようなおいしさが知れわたるや、一躍フルーツ界の女王となった。いま、生産量では山形県が全国の約80%を占め、「果物王 国やまがた」の中でも、まさに女王様。そのシンデレラストーリーをさぐってみよう。
そもそも西洋なしは16世紀頃からドイツ、イギリスで栽培されはじめ、18世紀のイギリスで代表的品種、バートレットが発見される。これが明治初期、日本に入った。山形県では、古くからのなし産地である東置賜郡屋代村(現在の高畠町)で明治8年に栽培を始めたとされる。
しかし当時は、実ったはずの果実を食べても、石のように固くてまずい。「こんなもの食べられないと捨てておいた。それが時間がたつと黄ばんで香りがしてきたので、拾って食べたらおいしかった。収穫後に熟させて食べることに初めて気づいた」という笑えない記録がある。
一方で、屋代村相森の古文書には、「明治42年、皇太子(後の大正天皇)行啓の折に日本なしを献上したところ大いに喜ばれ、金一封とバートレットの苗を 賜わった。これが本県の西洋なしの歴史のはじまり」という内容もある。あれこれ推察すると、明治初期に確かに苗木はあったが、皇太子行啓をきっかけに、山 形での西洋なしづくりの機運が一気に高まったと考えられそうだ。
その後バートレットは缶詰加工用として盛んに作られる。このバートレット畑に細々と植えられていたのが、当時は受粉樹の身だったラ・フランスだ。ふつう 果樹は単一品種だけでは実がなりにくい。そこで違う品種を受粉樹として畑に入れ、実を結ぶ確率を高めるという栽培手法をとる。

栽培に手間がかかるため、初めは受粉樹で導入

ラ・フランスは1864年、フランスのクロード・ブランシュ氏が発見。そのおいしさに「わが国を代表するにふさわしい果物である!」と賛美したことから「ラ・フランス」と名前がついたという。
日本には明治36年に、山形県には大正初期に入った。しかし生まれついての「みだぐなす」と、栽培に手間がかかることから、受粉樹という日陰の立場に甘んじていた。
しかし、昭和40年代頃から缶詰よりも生のフルーツへと需要が移ると、生食用の決め手としてラ・フランスの真のおいしさが注目されるようになった。
ラ・フランスは、別名「バター・ペア」。特有の芳香と、果汁がしたたるち密な肉質は、まさに西洋なしの最高峰。当初は高価な果物としてわずかに出回っていたが、グルメブームの到来で、広く一般的に入手できるようになった。
ラ・フランスは西洋なしの中で一番開花が早いが、実がなるまでに時間がかかる。生育期間が長ければその分手間がかかるし、病害虫や台風の影響も受けやすい。故郷のフランスで作られなくなったのもこのためだ。
有機質を入れる土作りから始まり、枝のせん定、病害虫防除、つぼみの段階での数の整理・実の数の整理を重ねて大切に育て上げる。官民一体の研究努力が実り、ようやく生産体制が安定したのが昭和60年頃。これ以降は、栽培面積、収量ともグンと伸びている。


ラ・フランスは当初、生産の主役であったバートレットの結実を助ける受粉樹として導入された。見かけの悪さもあって裏方に甘んじていたが、その実、大変に美味であることは栽培者の間で知られていた。
ラ・フランスは当初、生産の主役であったバートレットの結実を助ける受粉樹として導入された。見かけの悪さもあって裏方に甘んじていたが、その実、大変に美味であることは栽培者の間で知られていた。

出番待ちの、丁寧に袋掛けされたラ・フランス。
出番待ちの、丁寧に袋掛けされたラ・フランス。


シルバーベルはかなりの大玉種で、味も濃厚。X'mas時期が食べ頃になる。
シルバーベルはかなりの大玉種で、味も濃厚。X’mas時期が食べ頃になる。

バラード|ラ・フランスよりも出荷が早い大玉の有望品種。
ラ・フランスよりも出荷が早い大玉の有望品種。(バラード)

とろける甘さを作る「追熟」、
見極めたい「食べ頃」

収穫してから熟させる「追熟」のメカニズムはこうだ。もぎたてのラ・フランスは2%ほどのデンプンを含み、クエン酸などの酸も多い。これが追熟す るうちにデンプンが果糖やしょ糖、ブドウ糖などの糖分に分解され、ビタミンBやCも多くなる。また果肉中のペクチンも水溶性のペクチンに変わるため、とろ りとしたなめらかな肉質になってくる。追熟の期間は常温で2~3週間。食べ頃は、軸の周囲に盛り上がっている「肩」と呼ばれる部分を指で押してみて、耳た ぶぐらいの柔らかさだったらOK。ただ果皮の色はほとんど変化がないので注意しよう。もちろん、店先の商品の熟れ具合を指で押して調べるのはマナー違反 だ。
「食べ頃」を出荷ケースごと均一にするのに役立っているのが、「予冷」の方法だ。収穫してすぐ摂氏2~5度の低温貯蔵庫に入れ、10日間ほど呼吸作用を抑制する。そして常温に戻すと、ラ・フランスは一斉に呼吸してデンプンを糖分に変え、約2週間後が食べ頃になる。
山形県の試験場では、より育てやすく、味も品質もよい西洋なしの新品種の開発を推進。中でも、ラ・フランスとバートレットをかけ合わせて完成した「バ ラード」は最有望株。450g前後という大玉で、主な品種の中でも甘さはナンバーワン。またやはりラ・フランスを親とするシルバーベルも晩生の大玉品種と してすでに市場をにぎわしている。
さて、「みだぐなす」から女王様へ、めくるめく出世物語も終幕。クリーミーな果肉をほおばる。口の中にさわやかな甘みとほどよい酸味が広がり、それはもう夢見ごこちのおいしさ。そのとろけるような味と香りは、食べた人を必ず女王様気分にしてくれよう。

数量